[ 石北本線 下白滝駅 ]
前日訪問した下白滝駅に、この日、再び戻ってきました。
相も変わらず、誰もいない駅。
聞こえてくるものと言えば、目の前の牛舎にいる牛の鳴き声と、その番犬が吠える声くらい。
いつも思いますが、白滝の地は、まるで
LMを優しく包み込んでくれるかのよう。
空や風さえも、違う世界のものかと思うほど、優しくLMの体と心に染み込んできます。
時には厳しい自然の力を見せつけ、甘えを許さぬところもあるけれど、それさえも愛おしく感じる大地。
心が求めてやまぬLMにとっての聖地――それがここ、
下白滝駅なのです。


前日に引き続き、
最愛の人の遺影を取り出し、一緒に目の前の光景を眺めます。
その合間合間には、下白滝駅を通過してゆく列車を撮影していました。
とある方が、私の北海道の旅を「
巡礼」と評されたことがありますが、その表現は妥当だと思います。
北海道に旅に出て、駅を巡ったり、鉄道を撮影するのは、もちろん楽しいことです。
でも、それは、LMにとって
北海道旅行の副次的な目的にすぎません。
一番の目的は、
夭折した最愛の人の鎮魂が目的です。
彼女が最も愛した場所を、彼女の遺影と共に歩く――。
それは彼女の願いであり、私の心の癒しとなる旅でもあります。




昨日と違ったことは、
この日は雪が降ったことです。
前日は、雲が多いとはいえ、概ね青空が見えていましたが、この日は空一面が曇り空。
到着してしばらく佇んでいると、本降りの雪になりました。
これまで、下白滝駅では、冬の訪問でも晴れか曇りで、雪は降っていませんでした。
というか、
LMの北海道旅行は、冬でも大抵は晴れ模様です。
それはそれでいいことなのですが、雪国らしい情景を見たい・・・とも思っていました。
この日、ついに願いがかない、
雪の降り積もる下白滝駅を撮影することができたのです。
白く染められた世界は、まさに清浄そのもの。
真っ白になりながら撮影しているうちに、この雪が
LMの心の狂いや歪み、穢れを一掃してくれるような気がしました。

下白滝を通過する
特急「オホーツク」。
雪で真っ白になりながらも、雪を跳ね飛ばして勇ましく駆け抜けていく姿に惚れ惚れしました。

本降りの雪は、ほんのわずかな時間の出来事。
20分もすると、もう青空が見えてきました。
先ほどの雪は、この地で雪が舞うことを願っていたLMに、白滝の大地がくれた贈り物だったかもしれません。
そうこうしているうちに、別離の時が迫ってきました。
特快「きたみ」で離脱するため、今回もやむなくタクシーで下白滝駅を離れます。
タクシーに乗り込む前、この駅で見た様々な光景が一度に浮かんでは消えました。
後ろ髪ひかれる思いでしたが、迷いを断ち切るように、タクシーのドアは閉じたのでした。

タクシーで向かった白滝駅は、まだ16時台だというのに、夜のように真っ暗でした。
薄暗い空、かすかに辺りを照らす灯火、雪が覆ったホーム・・・。
それらが組み合わさり、
どこか郷愁を誘う光景でした。
そこに、静かに列車が滑り込んできます。
その時、不意に
物凄い寂寥感が湧いてきました。
愛しき白滝の大地との別れ――それがLMの心を震わせるのです。
ここでまた、LMの心と体は後戻りしかけましたが・・・。
列車の時刻という現実がLMの心に正常な判断力を取り戻させ、慌てて駆け出したのでした。
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テーマ:鉄道旅行 - ジャンル:旅行
- 2012/08/28(火) 00:00:05|
- 鉄道旅行
-
-
| コメント:4
この雪の中でレンズキャップ落としたら ・・・ 雪解けの4月末か下手したら5月GW頃までは 凍結状態ですね(笑)
僕はこの駅の想い出といったら
モーモーちゃんたちと番犬君たちでして
キハやオホーツク DD51貨物などのことは
まったくありません
新顔の番犬君に逢いたいなぁ
- 2012/08/28(火) 16:53:42 |
- URL |
- タブレット #-
- [ 編集 ]
こんにちは
前にもお話ししたことがありましたっけ、
下白滝駅は谷のはざま、空が高いんですよね
どこまでも吸いこまれていくような、どこかに繋がっているような、高い高い空です
真っ白な顔のオホーツク
私は勝手に「ロシアのひげじいさん」と呼んでおります
(^^;)
もうベテランのこの車両 雪がとっても似合いますね
今日も ムラは暑い暑い真夏です
夏休み明けはいつも暑いんです
それでも夜は窓を閉めてないと寒くなりました
風は秋、そしてまたすぐ長い冬です
- 2012/08/29(水) 08:40:14 |
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- Jam #-
- [ 編集 ]
タブレット様
こんばんは。
コメントありがとうございます。
返信、大変遅れて失礼しました。
仕事が忙しいのですよ、最近・・・。
> この雪の中でレンズキャップ落としたら ・・・ 雪解けの4月末か下手したら5月GW頃までは
> 凍結状態ですね(笑)
まあ・・・そういうことになってしまうでしょうね(汗)。
でも、白い雪で一面が覆われていたなら、かえって落としていることに気づきそうですよ?
> 僕はこの駅の想い出といったら
> モーモーちゃんたちと番犬君たちでして
> キハやオホーツク DD51貨物などのことは
> まったくありません
> 新顔の番犬君に逢いたいなぁ
私も、この駅に限っては、それほど列車の方に興味を向けているわけではないです。
たまたま来たから撮ったという程度でして・・・。
牛や犬も、到着時点では意識もしますし、挨拶もしますが、すぐに興味がなくなります。
犬たちも、最初はこちらによってきますが、こちらが全然相手にしないとみると、さびしそうに帰っていきますよ(笑)。
でも、私がここに降り立つのは、鎮魂という厳粛な目的があってのことで、犬たちとじゃれあっている時間はないのです。そのために、数千円の資金をはたいて、わざわざここに来るわけですから。
牛や犬たちがいなくなったとしても、そこに駅がある限り、私は通い続けることでしょう。
- 2012/08/31(金) 01:08:28 |
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- #-
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Jam 様
こんばんは。
コメントありがとうございます。
レス遅れて失礼しました。
> 前にもお話ししたことがありましたっけ、
> 下白滝駅は谷のはざま、空が高いんですよね
> どこまでも吸いこまれていくような、どこかに繋がっているような、高い高い空です
そうですね。
青空の時の下白滝の空は、吸い込まれるような雰囲気を感じます。
だからでしょうか・・・この駅に独特の神秘性を感じるのは。
> 真っ白な顔のオホーツク
> 私は勝手に「ロシアのひげじいさん」と呼んでおります(^^;)
> もうベテランのこの車両 雪がとっても似合いますね
どういうネーミングセンスですか(笑)。
> 今日も ムラは暑い暑い真夏です
> 夏休み明けはいつも暑いんです
> それでも夜は窓を閉めてないと寒くなりました
> 風は秋、そしてまたすぐ長い冬です
暑い時期もあるんですね。
私たちのイメージでは、いつでも涼しそうですけど。
まあ、そちらの「暑い」は、私たちの「涼しい」かもしれません(笑)。
- 2012/08/31(金) 01:15:07 |
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