[ 4931D 車窓 ]


深川行きの列車にしばし身を任せる。
お盆期間(訪問時)というのもあってか、この日、LMが乗車した列車はいずれもそれなりに乗車率があった。
しかし、
特殊な訪問となった石狩沼田駅を除き、この日LMが下車した駅で、
LM以外に乗り降りする客は誰もいなかった。
[ 留萌本線 北一已駅 ]

終点・深川のひとつ手前の
北一已駅で、LMはまるで他の客に先んじるように下車する。
ここでも、やはりLM以外に乗り降りする客はいない。

北一已駅は、
木造駅舎が今に残る駅だ。
以前訪問したことがあるが、雰囲気が良かったので、今回の訪問も楽しみにしていた。
駅舎の正面に回ると、天気も良く、光線加減も申し分なく、駅を撮影するには最高の環境といえる。
しかし・・・
何かおかしい。
何かが・・・
何かが違う気がする。
しばらく見ていて、ようやくLMは
違和感の原因に気づいた。
木造駅舎の象徴とでもいうべき板壁が全くなかったのだ。

駅に飾られていた、かつての北一已駅駅舎(模写)。
以前訪問した時は、確かにこの写真のような板壁が残っていた。
そういえば、
板壁はだいぶボロボロだという情報をどこかで見た気がする。
となると、取り払われてしまったのだろうか。
思い出の駅を前に、何となく
うら寂しい気分になってしまった。

駅舎の正面入口。
二重扉の奥に、わずかばかりの板壁が名残を残していた。




少しガッカリしたが、駅舎の中にいると、
言葉に尽くしがたい安らぎがある。
木製の椅子に座ってぼんやりしていると、何かに包み込まれるような、
守られているような優しい雰囲気があった。
その優しい空気と、疲れに負けて、LMは
最愛の人の遺影を抱いたままうつらうつら眠っていた。
ハッと目が覚めると、わずかに3分程度しか寝てはいなかったが、何故かとても頭が軽くなり、目も冴えてきた。
それはまるで、駅がLMの疲れをとってくれたかのようだった。

北一已駅を離れる時が来た。
短い時間だったが、とても印象深い思い出ができた。
最愛の人と共に駅に手を振ると、LMたちは再び車中の人となる。
LMを乗せた列車は、暮れゆく太陽を追いかけるかのように、黄昏の鉄路を走り出した。
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テーマ:駅の写真 - ジャンル:写真
- 2017/03/30(木) 00:00:01|
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