2016.01.19(Tue):駅探訪

金華駅(1)
久しぶりの駅紹介となります。
今日は、写真が少し前のもの(平成27年8月)になってしまいますが、石北本線金華駅をご紹介したいと思います。
これまでの駅紹介と少し違うのは、金華駅は「もうすぐ廃止される運命」にある駅だということです。
金華駅は、これまでも何度か列車の中から眺めてきており、訪問したい駅のひとつでした。
とはいうものの、これまで石北本線方面に行くときはどうしても白滝周辺(特に下白滝駅)と石北臨貨に時間をとられる傾向にあり、なかなか訪問できませんでした。
しかし、ネットのニュースで金華駅が廃止されるという記事を見て、いよいよ猶予がなくなったと感じ、この夏の北海道旅行に何とか行程をねじ込み、立ち寄ることにしたのです。

金華駅
金華駅駅舎。
駅は北見市留辺蘂町に所属します。
駅の歴史は大正時代にまでも遡り、1914(大正3)年に湧別軽便線奔無加(ぽんむか)駅として開業したのが始まりです。
旧駅名である奔無加という難解な名前は、北海道ではおなじみのアイヌ語由来の地名で、その語源は「ポン、ムカ」(小さいムカ川)から来ているそうです。
その後、1922(大正11)年に所属する鉄路が湧別軽便線から湧別線へ、さらに石北線に編入され(国有化は1949年)、駅名自体も1951(昭和26年)に金華駅へと改称されました。
なお、現在の地名「金華」は、かつて近くに住友鴻之舞鉱山金華支山があったことに由来すると言われています。
駅の周囲は数軒の人家があるものの、廃屋も見られるなど人気はほとんど感じられません。
山に囲まれた場所にある地勢もあって静かな環境で、秘境駅としての雰囲気満点です。

金華駅(2)

金華駅(3)
ホーム側から見た駅舎。
駅舎は1934(昭和9)年に改築されたものだそうです。
正面側もそうですが、あちこちに補修の跡が残され、駅舎の壁はパッチワークのようになっています。
ただでさえ厳しい北海道の自然環境の中で、常紋峠に近い山間の地という過酷な環境が駅舎を蝕んだということなのでしょうか。
そのため、木造駅舎らしい風合いを若干失っていますが、厳しい環境にさらされつつも駅舎としての機能を維持し耐え抜いてきた、名誉の“傷痕と見ることもできるでしょう。

金華駅(4)

金華駅(5)
駅舎内部。
駅舎自体大きくて堂々とした造りですが、待合室も広々しています。
変な例えですが、この周辺に住む全ての住民をこの待合室に集めたとしても、まだ余裕があるでしょう。
今となっては、利用者(というより、住民全体の)数に対して完全に“オーバースペック”状態の駅舎ですが、この駅舎が立てられた当時はこれくらい大きな待合所が必要なくらい地域の住民が多かったのでしょうか。
ただ、こちらは書籍等での裏付けがないものの、前述した地名の由来でもある住友鴻之舞金山金華支山は昭和の初めごろ活況を呈しており、地元もその恩恵にあずかって旅館まであったという話が残っているほどなので、駅舎が改築された昭和9年頃は、駅の周囲も賑わっていたのかもしれません。
こんな山間の小駅にも、栄枯盛衰の歴史があるものですね。

金華駅(6)

金華駅(7)

金華駅(8)

金華駅(9)
金華駅ホーム(遠軽・旭川方面)。
ホームから延びていく鉄路の先には、石北本線有数の難所・常紋峠と、そこを貫通する常紋トンネルがあります。
常紋トンネルは、金華駅と同じ1914(大正3)年に開通したトンネルですが、過酷な環境から工事は難航
それに加えて、タコ部屋労働による厳しい労働環境は想像を絶し、働けなくなることは死を意味しました。
この自然環境と労働環境のどちらも極限の厳しさの中、大勢の労働者が倒れていきました。
その犠牲者の魂を弔うための「常紋トンネル工事殉難者追悼碑」が駅の近くに建てられています。

金華駅(10)

金華駅(11)
金華駅ホーム(北見・網走方面)。
金華駅は2面2線(他に使われていない側線が1線)の配線となっており、列車交換が可能な駅となっています。
こんな辺鄙な場所にある駅にもかかわらず列車交換設備があるのは、やはり常紋峠という難所を控えているからなのでしょうね。
駅舎反対側のホームは島式ホームですが、駅舎側のホームは崩されており、事実上片側のみの運用となっています。
この崩されたホームを見ていると、この駅は既に廃駅なのではないかと感じさせるものがありました。
ホームのすぐ近くまで木々が迫っていますが、駅には熊が出没しているため注意を促す張り紙があり、撮影していても木々の隙間から「ガサガサ」という音が聞こえてきはしないかと、気が気ではありませんでした(汗)。

金華駅(12)

金華駅(14)
LMはこの駅に来るまで全然知らなかったのですが、この駅始発着の列車があったのには驚きました。
こんな秘境駅を始発にしても乗客が期待できるとは思えないので、列車運行上の都合か何かなのでしょうが。
ただ、撮影時は8月で青春18きっぷの期間内であったこと、また金華駅の廃止がネット上に掲載されて間もない時期であったこともあってか、LMが滞在していたときにちょうど入線してきた4652D(折り返し4657Dとして運転)からはバラバラと数人客が降り立ち、盛んに駅の写真を撮っていました。
LMはその時点で撮影が終わっていましたし、皆さんの邪魔にならないよう少し離れた場所から眺めていましたが、その様子を見ているとこの駅の廃止がいよいよ間近に迫っているのだと、実感させられた気がしました。
100年以上にわたって鉄道利用者を見守ってきたこの駅――金華駅は、平成28年 3月26日のダイヤ改正をもって廃止され、その長い歴史にピリオドを打つ予定です。


スポンサーサイト

Secret