
本日は、久しぶりに駅紹介を行います。
今回ご紹介するのは、駅紹介を予告しておりました
函館本線(砂原支線)にある
渡島沼尻駅です。

渡島沼尻駅は、北海道茅部郡
森町にあります。
開業は1945(昭和20)年、函館本線砂原支線の開通に伴い、
渡島沼尻信号場として開業しました。
この年は終戦の年ですが、駅は終戦より2カ月ほど前に開業しています。
元々、砂原支線自体が戦時中の輸送力強化のため生み出されたものなので、このような開業時期となったようです。
北海道のこうした駅の典型的なパターン通り、
JR発足と同時に駅として昇格しました。
「渡島沼尻」という地名は、この辺りの旧国名「
渡島」+所在地近辺の地名「
沼尻」の組み合わせによります。
「沼尻」の語源には諸説あり、アイヌ語の「ヌプ・シリ」(野・丘)に由来する地名が次第になまって「ヌマジリ」になったという説、または近辺にある沼の尻部分に当たるために沼尻としたという説もあります。


駅周辺。
辺りは北海道特有の原生林に囲まれており、静謐な空気に包まれています。
一応、駅前には小さな神社と事務所(?)、家も見られるものの、何も知らずに降りたら不安感にかられそうな、
秘境感あふれる駅です。
この環境のため、
秘境駅としても知られています。
イメージとしては山の中にある駅という雰囲気ですが、実は2km弱歩けば海にたどりつけるような立地です。



渡島沼尻駅の駅舎は、信号場として開業した当時のもののようです。
近くに設置されているトイレも当時のもので、こちらは財産票が残されており、明確に「昭和20年」と示されています。
駅舎自体は当時のもののようですが、LMが持つ資料(北海道鉄道駅大図鑑)を見る限り、この駅舎も
縮小駅舎とされています。
同書によると、
元々L字型の配置だったそうですが、一部取り壊され今の形状となったようです。
しかし、普通、縮小駅舎は、削られた面がのっぺらぼう的な平面になるのが常。
※
事例1 事例2ところが、この駅はどの面を見ても下見板張りの壁面となっており、板壁のくすみ具合もあまり変わらないように見えます。
事前に情報を知らないと、元からこの姿だったのではないかと錯覚しそうです。

駅舎が少し傾いていることから、つっかい棒で支えられています。
冬には積雪等もありますし、
厳しい自然環境で木造駅舎が生き残るということは大変なのだということをひしひしと感じさせられます。

駅舎内部。
トイレのある側のドアを開けると、狭い待合室になっています。
“
うさぎ小屋”と呼ばれそうな狭さですが、利用者を考えれば十分ということなのでしょう。
冬に待つことを考えると、
広すぎる部屋よりも狭い部屋の方が保温性が高いので、これはこれでよいのではと思ってしまいます。
(夏は暑苦しいということですけど・汗)


同じく駅舎内部。
こちらは、構内踏切正面のドアから入ります。
最初はこちらが待合室かと思ったのですが・・・。
畳敷きの間があったり、炊事場があったり、事務机があったりする屋内の造りを見ると、どうもこちらは昔の駅員事務室だったような気がします。
後で調べると、こちらは
普段施錠されているらしいので、この時はたまたまカギが開いていただけのようです。
保線用車両が停車していたので、保線職員さんの締め忘れかも。


渡島沼尻駅ホーム(森・長万部方面を望む)。
元々の出自が信号場というだけあり、列車交換が可能な設備を有します。
配線は2面2線、ホームは千鳥(互い違い)状に配置され、中央部にある構内踏切で接続する形態です。
他に側線も設置されています。
その側線も、今は使われていないようなものではなく、きちんと機能しているようで、この日は保線用車両が停車していました。
ホームの有効長は短いですが、構内は広く、長大編成の車両でも余裕を持って交換できるようになっています。
この路線に優等列車は走っていませんが、貨物列車が設定されていることから、それに対応した備えとなっているのでしょう。

渡島沼尻駅ホーム(函館方面を望む)。
駅舎反対側は防風林で守られています。
その奥には、雄峰・駒ヶ岳が透かし見えます。
中央部の構内踏切奥には小道が続いており、そちらに向かえばもう少し駒ヶ岳が見えるようになるかも知れなかったのですが、
熊が怖くて探索できませんでした(汗)。

轟音と共に通過する貨物列車。
前述のとおり、函館本線砂原支線には
貨物列車が設定されています。
(正確には、上り貨物列車が砂原支線を経由し、下り貨物列車は本線を経由)
しかし、当初、LMはそのことを失念していました(汗)。
駅を探索中、列車が来る時間でもないのに突然轟音が響き、しばらく何が起こっているのか分かりませんでした。
数秒後ようやく思考回路が働き、慌ててカメラを取って撮影しました。
この駅を訪問される方は、例え列車が来る時間でなくても、貨物が来ることがあるので、探索時は十分な注意が必要です。

ちっぽけな駅ですが、滞在していて楽しい駅でした。
機会があれば、ゆっくり時間をとって訪問したい駅です。
雪に覆われた駅の姿も、ぜひ見てみたいですね。
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テーマ:駅の写真 - ジャンル:写真
- 2016/12/07(水) 00:00:01|
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