宗谷本線の駅紹介、まずは
智恵文駅から始めます。
「智恵文」とは、独特な響きの地名ですね。
もっとも、北海道ではこの智恵文に限らず、
特異な地名が多いです。
これは、北海道の地名の語源が、大半の場合、
アイヌ語に由来していることによります。
アイヌ語に漢字を充てているため、かなり特殊な響きの地名も少なくありません。
なお、
Wikipediaによれば、智恵文とはアイヌ語の「
チェプ・ウン・トゥ(鮭が入ってくる沼)」から来ているそうです。

智恵文駅待合所。
典型的な
車掌車転用の待合所です。
以前はちゃんとした駅舎があったようですが、後に撤去され、車掌車を改造した待合所が置かれました。
この車掌車改造の待合所も、設置されてからかなりの年月が経っているはずですが・・・。
近年手を入れられたようで、見た目にそれほど古さは感じさせません。

ホーム側から見た待合所。
この車掌車型待合所は、北海道ではかなりの数が設置されています。
強烈な寒気が押し寄せ、多くの雪が降る、厳しい北海道の冬。
温暖な地方とは違い、屋根+ベンチだけの待合所、というわけにはいきません。
夏はともかく、冬には風雪から退避できるだけの、相応に密閉可能な待合所が必要となってきます。
車掌車は、そんな目的への転用に最適だったのか、単に余っていたので安上がりになるとリサイクルしただけなのか・・・。
そこのところは分かりませんが、とにかく立派にその“目的”を果たしています。
転用にも関わらず、多くの“元・車掌車”たちは、厳しい寒気にも、降り積もる風雪にも耐えて、
利用者を厳しい自然から守っているのです。


待合所内部。
中に入ってドアを閉め切ると、やはり
保温効果が違います。
特に、強い
寒風が吹き付ける時は、効果が大きいです。
ここでは、そうした保温効果に加え、ストーブまで設置されています。
もちろん、無人駅のことなので常時ストーブがついているわけではなく、必要に応じて使うようになっているみたいです。
ただ、LMは、ここからすぐ次の
北星駅へと徒歩で出発したため、ストーブは操作していません。
そのため、普通の利用者がすぐ使える状況なのかどうか、その点は確認できませんでした。

駅前にある駐輪場。
すっかり雪に埋もれてしまい、とても利用できる状況ではありません・・・。

智恵文駅ホーム(稚内方面)。
以前、この付近は
林業が盛んだったとか。
そのため、この駅は、かつて
木材積み出しのための貨物駅として賑わっていたそうです。
今でこそ1面1線のホームしかない侘しい駅ですが、かつては2面2線のホームと木材積み込みのための側線があったそうなので、今とはだいぶ印象を異にしていたことでしょう。
残念ながら、林業の衰えと共に駅の規模は縮小。
貨物の取り扱いは廃止され、ホームの一部や側線も撤去されて、棒線化された線路と1面1線のホームだけが残りました。
今はかつての栄華を偲ぶ術もありませんが、もしかしたら、雪の下に何かの遺構が残されているのかもしれません。
いずれにしても、見た目には何気ない、こうした地方特有の小さな駅にも、いろいろと
積み重ねられた歴史があるものですね。

智恵文駅ホーム(名寄方面)。
コチラの記事でも書いたことですが、本来、この
智恵文駅は訪問の予定にない駅でした。
本来の訪問駅である北星駅だったのですが、LMの乗った列車は、同駅を通過してしまいます(普通列車なのに・・・汗)。
そのため、徒歩で北星駅に向かうため、最寄りの駅として、やむなくこの駅で下車したのでした。
(その辺りの事情は
コチラの記事を参照。写真の方向に歩いて2km強あります)
しかし、何気なく訪問したこの駅にも、
“北海道の駅”としての特性と魅力がいっぱい詰まっていました。
結果的には、この駅にも訪問して良かったと思っています。
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テーマ:駅の風景 - ジャンル:旅行
- 2010/06/01(火) 00:00:01|
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