2011.01.08(Sat):駅探訪

建部駅(1)
新年の挨拶で「駅紹介に重点を置きたい」などと宣言してしまったので・・・。
たまには、駅紹介の記事も掲載したいと思います(笑)。
今日御紹介するのは、津山線建部駅です。
建部」と書いて「たけべ」と読むのが珍しいですね。
しかし、この駅が岡山市内にあるという事実は、現地に行って初めて知りました・・・。
2007年に地元・建部町が岡山市に編入合併されていたようです。

建部駅(2)

キハ28・58(4)
建部駅駅舎。
堂々とした構えの、威厳ある立派な木造駅舎が残されています。
この木造駅舎は、何と1900(明治33)年の開業当時のものだとか。
それ以来、実に110年以上もの長きにわたり、この地に存在し続けてきたのです。
それほど長い間、風雪に耐え、数多くの利用者を見守ってきたのかと思うと、感動してしまいます。
実際、この駅舎を前にすると、そうした歴史を持つにふさわしい風格が備わっている気がしました。
その歴史が評価されてか、2006(平成18)年3月には、国指定登録有形文化財として登録(登録番号第33-0103号)されています。
登録有形文化財と言えば、以前紹介した因美線美作滝尾駅と同じですが・・・。
こちらの方が歴史は古いわけで、登録有形文化財への指定も先になっており、“先輩”としての威厳を保っています。

建部駅(3)
ただ、こうした歴史を知った上で駅舎を見ると、瓦などが随分新しく見える気が・・・。
これは、2007(平成19)年12月~2008(平成20)年3月にかけ、補修工事が行われたためです。
この補修工事は、駅舎の長期的な保存を目的としたものだとか。
つまり、この長い歴史を誇る駅舎は、まだまだこれからも現役で使用され続けるということです。
昨今、老朽化や建て替えなどで木造駅舎が次々と失われている中、こうした事例は珍しく、嬉しい話ですね。
他にも増築など一部改変された部分があるものの、全体的には開業当時の面影を保っているそうです。

建部駅(4)
駅舎に掲げられた「建部驛」の駅名標。
手書きで力強く、歴史あるこの駅舎に掲げられるのにピッタリです。
一方で、「建」の左上に「、」を書いたのを後で消した跡が残っているのはご愛敬(?)です(笑)。

建部駅(5)

建部駅(6)

建部駅(7)
ホーム側から見た駅舎。
ホーム側からこの駅舎を見た時、ふとどこかで見たことがあるような気が・・・と思いました。
特に、駅舎側のホームから見たアングルは、そっくりな光景を見た記憶があります。
初めて訪問した駅なので、そんな馬鹿なことはないのですが・・・。
しかし、よく思い出してみると、似たような駅を思い出しました。
松浦鉄道(MR、旧・国鉄松浦線)の蔵宿駅です。

>蔵宿駅の記事はコチラ →  

リンク先から蔵宿駅の駅舎を見てもらえば分かりますが、駅舎側ホームからの光景がそっくりです。
蔵宿駅も100年近い歴史を持つ古い駅舎であり、歴史ある駅舎に共通点が見られることは興味深いことだと思います。

建部駅(8)

建部駅(9)

建部駅(10)
駅舎内部。
駅舎内部も、旧状がよく保たれており、往時を偲ぶことができます。
建部駅でも、美作滝尾駅と同じく、小荷物扱口や出札口カウンターが昔のまま残されており、大変貴重です。
列車が走り去り、静かになった駅舎内で、LMはひとり室内の椅子(もちろん木椅子)に腰かけました。
そして、この駅舎が重ねてきた幾星霜の時間と、ここを通り過ぎた多くの人々に思いを馳せます。
何気ない雰囲気の中にも、どこか歴史を感じさせる駅舎内の光景。
その室内を、厚く覆っていた霧の中から姿を現した眩い朝日が照らし始めました。
それはまるで、この駅舎が重ねてきた長い長い歴史を、厳かに浮かび上がらせているような気さえしたものでした。

建部駅(11)

建部駅(12)

建部駅(13)
駅舎の中をパチパチ撮り歩いていると、ふと駅前にいたタクシーの運転手の方に話しかけられました。
何と、鍵がかかっている駅員事務室内を見せてくれるというのです!
普段、封鎖されていることの多い駅員事務室内に立ち入れるのは滅多にない機会なので、喜んでその御好意に甘えました。
運転手の方が駅員事務室の鍵を持っておられる理由は、ここがタクシーの休憩所として使われているからのようです。
この駅は、今年7月までは簡易委託駅でした。
そのせいか、室内は埃っぽさもそれほど目立ちません。
待合室も往時の姿をよく残していますが、駅員事務室内も比較的良好な状態で残り、有人駅であったことを偲ばせます。
金庫や机、棚がある様子を見ると、今も駅員事務室として使われているような感覚さえ覚えますね。
タクシー(桜交通)の運転手様、その節は本当にありがとうございました。
この場を借りて御礼申し上げます。

建部駅(14)

建部駅(15)

建部駅(16)

建部駅(18)
建部駅ホーム(岡山方面)。
2面2線の配線で、行き違いが可能な交換設備を有しています。
実は、国鉄時代の末期、一度は交換施設が撤去されたそうです。
普通なら、そうした交換施設は草木に埋もれていく宿命ですが・・・。
建部駅の場合は、津山線の高速化のため、後に再び交換施設が復活されたとか。
一度取り払われた交換施設がまた復活するというのは、ローカル線では珍しい事例だと思います。

建部駅(19)

建部駅(20)
建部駅ホーム(津山方面)。
2面2線ですが、一線スルーという方式をとっており、基本的に列車はほとんど駅舎側(2番線)のホームに停車(または通過)します。
駅舎反対側のホーム(1番ホーム)は、行き違い列車がある時だけ使われているようです。
のどかな風景の中にある駅ですが、利用者は少なくなく、列車が来るとひとしきり乗降客で賑わいます。
一応“岡山市”にあるので、市中心部への通勤・通学者もそれなりに多いのかもしれません。

建部駅(21)

建部駅(22)
駅の外にある駅員用宿舎
幸いにも建物財産標が残っており、そこには「鉄宿 宿舎1号 昭和28年(1953年)10月」の文字が。
1世紀以上の歴史を持つ駅舎に比べれば大した歴史はありませんが・・・。
それでも、半世紀以上の歴史を持つ駅員用宿舎が残っているのは、大変貴重だと言えるでしょう。
この宿舎は、駅舎に隣接して建てられているもので、駅舎事務室からここへ出る通路が見えました。
表側、ホーム側共に古い木塀で囲まれ、一応プライバシーにも配慮した構造になっているようです。
宿舎・塀のどちらも長年の歴史を感じさせ、実に味があります。

建部駅(23)
全ての撮影を終わり、駅を立ち去る前に、もう一度駅を振り返ります。
素晴らしい風格を持った歴史ある木造駅舎――。
その姿を拝むことができただけでも、遠く岡山まで来た甲斐がありました。
機会があれば、ぜひもう一度訪問したい駅です。
今回は他の撮影があったので車での訪問となりましたが、次はぜひ列車で訪問したいですね。


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