fc2ブログ

LM徒然草 ~駅と列車と情景と~

風情ある駅と自然豊かな鉄道、そして心に残る情景を求めて・・・

【2012.02 北海道旅行】真冬の北海道を往く[3] ~白滝旅情編~


[ 遠軽町(旧白滝村) 国道333号沿線 ]
北海道201202(17)

北海道201202(18)

北海道201202(19)
以前、夏の終わりに訪問した際に歩いた、上白滝駅までの道程
最愛の人の遺影を胸に、この日、再びその道を踏みしめた。
同じ道、同じ大地なのに、世界は白銀に染め上げられ、全く別の世界のように見える。
それでも、白滝の大地は美しかった。
寒さが増しても、風が叩きつけても、苦にはならない。
ただ、銀世界のこの地を、あの人と共に歩ける喜びだけが、LMを支配していた。

北海道201202(20)
周囲に人家もなく、道は雪に埋もれ、誰も通りそうにない踏切。
それでも列車が来ると、踏切は己の義務を忘れず、高々と警報をかき鳴らし、赤灯を点滅させる。
「鉄道」という巨大な仕組みの中で、踏切などちっぽけな“歯車”にすぎない。
だけれども、その歯車がひとつでも狂ったり、欠け落ちたりすれば、安全は損なわれてしまう。
だからこそ、踏切は、脚光を浴びぬ歯車に甘んじて、誰も見ていなくても、ただ黙々と働き続ける。
そんな踏切が安全を守る鉄路を、列車は一瞬で駆け抜けていった。

[ 石北本線 上白滝駅 ]
北海道201202(21)

北海道201202(22)
雪を蹴飛ばし、風を押しのけて進むLMの前に、上白滝駅が姿を現す。
しばらく駅前に佇み、余韻に浸っていると、今まで雪で白んでいた空が不意に開け、青空が姿を見せた。
雪の中、この駅に再会するためだけに、徒歩でここまで来たLMに報いるかのように。
上白滝の空は、これまでで一番美しい空で、LMを迎えてくれた。

北海道201202(23)
青空は間もなく雪雲で閉ざされ、世界はみるみる白く染まってゆく。
やがて、雪が吹き荒れ、風が窓を叩き出す。
待合室に腰をおろして、その光景を見詰めるLMには、それが言葉にはできない不思議な愉悦の時間に感じた。

[ 遠軽町(旧白滝村) 国道333号沿線 ]
北海道201202(24)
タクシーで発祥の地に立ち寄った後、下白滝への道を再び徒歩で進む。
白滝の地は、次第に雪が強まり、風は荒れ狂い、世界は吹雪に閉ざされた。
寒さに慣れたLMにも、強風を伴うこの吹雪は厳しいものだった。
北の自然が、LMに牙をむいた瞬間だった。

[ 石北本線 下白滝駅 ]
北海道201202(25)

北海道201202(26)
救いの下白滝駅が見えてきたのに、そこまでなかなかたどり着けない。
容赦なく吹き付ける吹雪に、前に踏み出す足が重く感じる。
体感温度はみるみる下がり、服は雪で固められ、息継ぎさえ苦しい。
ほんのわずかな距離が、苦難の道に感じる。
命の危機さえ感じる強行徒歩行軍を経て、転げこむように下白滝の駅舎へ逃げ込んだ。

北海道201202(27)

北海道201202(28)

北海道201202(29)

北海道201202(30)
駅の外は、完全に吹雪で覆い尽くされていた。
四方八方、雪、雪、雪・・・。
列車さえ止めたほどの吹雪は、世界を白く染めて、ひたすらに降り続ける。
それは、ヒトが抗う事のできない、どこまでも厳しい自然の発露。
しかし、一方で、その景色は、蠱惑的なまでに美しい情景だった。

北海道201202(31)

北海道201202(32)
やがて、不意に雪は止み、空に太陽が戻ってきた。
太陽の暖かい温みが、凍りつきそうだったLMの心と体を優しく溶かしてゆく。
太陽のありがたさを、改めて実感した瞬間だった。

北海道201202(33)

北海道201202(34)
下白滝を通過してゆく特急「オホーツク」
道中の苦闘を物語るように、その面は雪で覆い尽くされていた。
雪煙を上げ、北国の列車は、今日も厳しい自然に立ち向かう。

北海道201202(35)
楽しい時間は、あっという間に過ぎ去る。
楽しい旅行も、あっという間に終わる。
短い滞在日数だったけれども、冬の北海道の情景を十分に堪能できた。
この時感じた感動は、写真と共に、LMの心にいつまでも残り続けるだろう。


スポンサーサイト



テーマ:北海道 - ジャンル:旅行

  1. 2012/04/20(金) 00:00:01|
  2. 鉄道旅行
  3. | コメント:4
<<【桜情景2012】南風崎駅 | ホーム | 【2012.02 北海道旅行】真冬の北海道を往く[2] ~夜間撮影編~>>

コメント

ピンキリ というか 天国と地獄というか
両方のすんごい天候のなかですね

僕はいつも このあいなかくらいでしたから
ちょっとうらやましいです

こんな時を過ごせたのなら
旅費 安いもんだわ

また行きたくなるよねぇ
  1. 2012/04/20(金) 18:45:18 |
  2. URL |
  3. 前期高齢者(sirainosato) #-
  4. [ 編集 ]

安くはないですよ、さすがに(笑)

前期高齢者様

こんばんは。
コメントありがとうございます。

> ピンキリ というか 天国と地獄というか
> 両方のすんごい天候のなかですね

そうですねぇ、こんなに一日で天気が変わるものだとは・・・。
一時はかなり危険なところまでいきましたからねぇ、いやホント(汗)。

> 僕はいつも このあいなかくらいでしたから
> ちょっとうらやましいです

命を危険にさらしても、私の環境が羨ましいですか?(笑)

> こんな時を過ごせたのなら
> 旅費 安いもんだわ
> また行きたくなるよねぇ

まあ、さすがに安くはない・・・ですがねぇ(苦笑)。
お金には代えられない体験をさせていただきましたよ。
今回は、他の用事のついでにいけたので助かりましたけれども。
かなり旅費をカンパしてもらっている状況です、現状では(汗)。
  1. 2012/04/21(土) 03:20:14 |
  2. URL |
  3. LM #-
  4. [ 編集 ]

下白滝は 空が広くて高くて 晴れてる日はとてもすがすがしいんですが
谷を下る風がひとたび吹くと あんなふうになってしまいます(^^;)
反射テープ必要ですよ(^^)
 
旧白滝は もともとここに凍らない湧水が湧いていたこともあって 
最初の入植地に選ばれただけのことはあり、ムラの中では一番あたたかいです

白滝と上白滝では気候が違います 標高が高くなっていきますから
上白滝だけふぶいてるってこともよくあります
奥白滝から上越はロシア並みの気候です 標高500越えの山の中なだけのことはあります 

ご滞在の間に いろんな風に会えましたね

今週末で 今季の貨物が終了します
また予定通り 夏に再会されることを願ってます
  1. 2012/04/24(火) 08:49:12 |
  2. URL |
  3. Jam #-
  4. [ 編集 ]

レス遅れ大変失礼しました;

Jam様

こんばんは。
コメントありがとうございます。
コメントに気付くのが遅れ、レスまで遅れて失礼しました(滝汗)。

> 下白滝は 空が広くて高くて 晴れてる日はとてもすがすがしいんですが
> 谷を下る風がひとたび吹くと あんなふうになってしまいます(^^;)
> 反射テープ必要ですよ(^^)

そうですか。
確かに、下白滝は空が広いですよね。
既に、今の私は、下白滝の空を求めています・・・。
 
> 旧白滝は もともとここに凍らない湧水が湧いていたこともあって 
> 最初の入植地に選ばれただけのことはあり、ムラの中では一番あたたかいです

そうだったんですか。
冬季に凍らない水が得られるというのは、そちらのような地勢ではとても大切なことですよね。

> 白滝と上白滝では気候が違います 標高が高くなっていきますから
> 上白滝だけふぶいてるってこともよくあります

> 奥白滝から上越はロシア並みの気候です 標高500越えの山の中なだけのことはあります 
奥白滝から先は行ったことがありませんが・・・。
確かに、列車の窓から見ると、かなりヤバそうな光景ですね(苦笑)。
列車が通うのが不思議なくらいです。

> ご滞在の間に いろんな風に会えましたね
はい、いろいろな光景に会えました。
大変だった部分もありますが、個人的にはどんな景色も好きで、心に残っています。
白滝の土になってもいいくらいです(笑)。

> 今週末で 今季の貨物が終了します
> また予定通り 夏に再会されることを願ってます

そうですか・・・もう、石北貨物の終わりの時期でしたね。
とりあえず、今年はまた再会できそうですが・・・。
いつまでと言わず、ずっと走り続けてほしいですね。
  1. 2012/04/25(水) 10:52:07 |
  2. URL |
  3. LM #-
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

このブログについて

LM

Author:LM
鉄道旅行が趣味(&気晴らし)のLMが、旅先で出会った駅を下手な写真と駄文で紹介するブログです。
2010年以降は鉄道写真も多くなっています。

[ 趣 向 ]
風情あふれる木造駅舎とローカル線、SLが大好き。都会近辺の路線はやや苦手です。
廃墟系の建物や独特の雰囲気の建物、美しい自然も愛でています。

[ 構 成 ]
基本的に、LMがメインです。
他に、高校時代からの友人にして、このブログの共同経営者・Kが一部の写真撮影を担当しています。Kは夜勤が多いので、平日昼間の撮影に重宝しています(笑)。
このほか、表立っては出ませんが、LMやKの知り合いの女性たちが黒幕?として存在してます。

[ 機 材 ]
LM:
・Nikon D500(メイン機)

K:
・Nikon D7200(メイン機)

これまでの下車客

多分、新しい記事・・・のはず

御意見箱

乗換案内

このブログをリンクに追加する

この駅の歴史

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2ブログランキング

ブログランキングに参加中!

FC2Blog Ranking

↑クリックしていただけると嬉しいです。

検索フォーム

pictlayer

写真拡張表示機能

写真を拡大表示するプラグイン。クリックで簡単に写真を拡大(原寸表示)できます。お試しあれ!