2012.06.03(Sun):駅探訪

備後八幡駅(1)
本日の駅紹介は、芸備線から備後八幡駅をご紹介します。
“八幡”には「はちまん」「やはた」などいろいろな読みがありますが、ここでは「やわた」と読むようですね。
広島県でも東端にあたる庄原市東城町にあるこの駅は、中国山地の奥深くにひっそりとたたずむ駅です。

備後八幡駅(2)

備後八幡駅(3)

備後八幡駅(4)

備後八幡駅(5)
備後八幡駅駅舎。
開業当時からの風情ある木造駅舎が残されています。
ただ、実際には“開業”よりも前に駅舎は完成していたようです。
というのも、駅舎に残された建物財産標によれば、竣工は1934(昭和9)年9月。
対して、芸備線の前身である国鉄三神線の東城-小奴可間が延伸開業したのは1935(昭和10)年6月のことだからです。
ともあれ、80年弱の長い歴史を刻んできたわけですね。
現在の駅舎は、箱形の小さくて可愛らしいような駅舎ですが、当初からこの形だったわけではありません。
昔は、もっと横に長い、長方形の風格ある駅舎だったようです。
しかし、以前紹介した藤山駅同様、事務室部分が破却され、待合室部分が残された結果による“縮小駅舎”なのです。
1983(昭和58)年、この駅が無人化(切符の販売は近くの簡易郵便局に委託化)されたことに伴う措置なのでしょう。
今の駅舎も悪くありませんが、以前の堂々たる駅舎も見たかった気がしますね。
駅舎の左隣には、まるでこの駅を守護するように大きな木(あまりに大きすぎ、写真に入りませんでした・・・)がそびえ立っているのが印象的です。
また、右側には桜がありますが、もう4月も終わりというのに、まだ花を残していました。
中国山地奥深くにある駅だけに、春の訪れも遅いのでしょうね。

備後八幡駅(6)

備後八幡駅(7)
ホーム(線路)側から見た駅舎。
小さな駅舎にも関わらず、立派なひさしとそれを支える柱の組み合わせは、堂々としたものを感じさせます。
上の写真を見ていただくと分かりますが、他の三方の壁に比べ、備後落合側の壁は不自然な“のっぺらぼう”状態です。
上記した通り、これが事務室部撤去の名残のようです。
下の写真で、駅舎の隣には便所がありますが、これもまた開業当時からと思われる年季の入った建物です。
また、駅舎の右端に「ご利用ありがとうございます」という看板がかかっているのが見えますが・・・。
写真では分かりづらいですが、この「ご利用」の上に「国鉄」と書かれていたのを消したと思しき形跡がありました。
そんな所も、この駅の歴史を感じさせてくれます。

備後八幡駅(15)
駅舎と便所の間にある小さな木戸。
こんな何気ない物にも、この駅舎の歴史が詰まっているような気がします。

備後八幡駅(8)

備後八幡駅(9)
駅舎内部。
外観に比べ、待合室はかなり広く感じられました。
これは、事務室等が撤去されているため、駅舎=待合室となっているためでもあるのでしょうね。
駅舎内は塵ひとつ落ちておらず、目立った汚れもなく、とてもきれいに清掃されていました。
また、ドアや窓はサッシになっており、やや風情を損なっている感はあるものの、しっかり戸閉ができます。
夜間は消灯されることもあり、こういう田舎の駅ではありがちな虫の入り込みも少ないようでした。
この駅は、ありがちなプラスチック製の椅子ではなく、木製の長椅子が残されています。
そして、この長椅子が、大いに役に立ちました。
というのも、LMは前夜、この駅で“駅寝”をさせてもらったからです(汗)。
訪問日は1日限定、しかも、翌日は仕事――という窮屈な日程では、前夜から夜を徹して走ってこざるを得ませんでした。
九州西部からひたすら走り抜くこと6時間余、深夜にようやくこの駅までたどり着きました。
とは言え、最初から駅寝する計画だったわけではなく、当初は車の中で仮眠をとる予定だったのです。
(夜のうちに到着したのは、訪問時間が限られているため、翌朝早くから撮影しようと考えていたため)
しかし、実見してみると、駅舎内部の状態がとても良かったので、寝袋を持って長椅子で寝ることに。
木製の椅子のため、やや硬くは感じましたが、それでも体を伸ばして眠れるのは助かります
シンと静まった駅舎内部に、外から聞こえるカエルの合唱が印象的な夜でした。
・・・ただ、夜中、電気が完全に消えた便所に行くのは、正直ちょっと怖かったですね(汗)。
関係ない話ですが、この駅舎撮影では、久々に広角レンズが大活躍してくれました。
まあ、元々が駅舎撮影のために買ったようなものですからね・・・。
このレンズをもっともっと活用して、駅紹介の記事を充実させねば・・・。

備後八幡駅(10)

備後八幡駅(11)
備後八幡駅構内(備後落合・三次方面)。
現在は1面1線の単純な棒線構造ですが、写真でも見受けられるとおり、以前は2面のホームがあったようです。
駅舎反対側のホームは、若干草に埋もれ気味ながらも、まだまだしっかりした姿を残していました。
駅舎側からちょっと見た目には2面2線の交換可能駅かと思われたのですが、よく見たら線路が切れていました・・・。
これでも、10年くらい前までは、列車交換が行われていたようです。
しかし、2012年5月現在、備後八幡駅を発着する列車は、芸備線内でも最小の3往復のみ。
これでは、交換施設など不要と思われても仕方のないところでしょう。
上の写真に写る列車は、その数少ない列車の一本(新見行き/442D)ですが、乗客数はゼロ・・・。
その前に撮影した列車(備後落合行き/441D)も乗客は一人もいませんでしたし・・・。
もちろん、この日は学校・仕事が休みだったということを考慮に入れるとしても、この付近の鉄道事情の厳しさを感じさせられます。
比較的列車本数の多い広島-三次間と比べると、格差が激しすぎますね・・・。
LMも、駅寝までさせてもらった以上、ぜひとも“御礼乗車”をしたいと考えていたのですが・・・。
あまりにも厳しすぎる(ある意味、三江線よりも厳しい)ダイヤ設定のため、あきらめざるをえませんでした。

備後八幡駅(12)

備後八幡駅(13)

備後八幡駅(14)
備後八幡駅構内(東城・新見方面)。
事前の調査では、もっと周囲に人気のない所かと思っていましたが、思ったよりも人家はありました。
もっとも、山沿いの小さな集落といった程度ですが・・・。
ただ、駅周辺は閑静な空気に包まれています。
ひとつは、駅周辺にある家が無人だからでしょう。
LMは詳しく調査できませんでしたが、資料によれば駅前には廃屋となった鉄道官舎があるとか。
今は寂れた駅ですが、有人だった以前は賑やかな駅だったのかもしれませんね。
さて、当初、この駅を見た限り、以前は2面2線だったろうという推定をしていました。
しかし、こちらから見てみると、どうやらもう1線あるらしいことが判明しました(写真下)。
つまり、当初は2面3線(もしくはそれ以上?)で、駅舎反対側のホームは単式(対面式)ホームではなく、島式ホームだったわけです。
もっとも、一番外側の路線は、駅舎寄りの2線に比べて荒れており、使われなくなって久しいようですが・・・。
以前は貨物側線があったそうなので、これがそうなのかもしれません。

備後八幡駅(16)

備後八幡駅(17)
今回の芸備線の駅訪問で、備後八幡駅は一番時間をかけたのですが・・・。
残念ながら、満足には探訪とはいきませんでした。
しかし、時折撮影の手を休めてゆっくりと駅に座ってみると、とても心地よい雰囲気を感じました。
どこか時間が止まっているかのような、のんびりした空気が流れる備後八幡駅。
機会があれば、ぜひとも再訪したい駅ですね。
願わくば、次回はもっとじっくり探索したいものです。


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