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LM徒然草 ~駅と列車と情景と~

風情ある駅と自然豊かな鉄道、そして心に残る情景を求めて・・・

【駅紹介・芸備線編】野馳駅


野馳駅(1)
本日の駅紹介は、芸備線から野馳駅をご紹介します。
野馳駅は岡山県新見市にある駅で、同県でも最西端、広島県との県境近くにある駅です。

野馳駅(2)

野馳駅(3)

野馳駅(4)
野馳駅駅舎。
この駅も、開業当時の木造駅舎がそのままに残されています。
前回紹介した備後八幡駅とは違い、当駅は事務室部分も残されているため、堂々として重厚な雰囲気があります。
駅前に植えられている手入れの行き届いた松(?)が、そうした雰囲気をより強調しているような気がしますね。
外壁の板は、長い年月、風雪に耐え抜いてきた歴史を物語る、実に味のある色合いを出していました。
この板目1枚1枚に、この駅の歴史と、年月が凝縮されているようで、一目見た時から感動したものです。
駅周辺は、小さいながらも相応に人家が集まり、ちょっとした駅前通りがありました。
この駅から新見市内(岡山県内)に入りますが、市中心部に向けた通勤・通学等で、ある程度は需要があるようです。
そのせいか、この駅は簡易委託駅(朝・夜は無人)となっています。
備後八幡駅も簡易委託ですが、こちらは他店舗ではなく、駅の窓口で切符を発券されているようです。
LMが訪問したのは休日でしたが、ちゃんと職員の方がおられたので、土日も窓口は開いているのでしょうか。
駅前にはタクシー兼観光バスを営業する会社があり、そちらが委託業務を担っておられるようです。
委託業務の傍ら、会社の事務室としても使われているようで、この駅舎の事務室はまだまだ“現役”なのです。
駅舎の撮影をするには、どうしてもこの大きな観光バスの車庫の前に立つ必要がありました。
危険防止と礼儀も兼ねて、一応会社の方に挨拶して断りましたが、快く許可してくださいました。

野馳駅(5)
ホーム(線路)側から見た駅舎。
横に長いひさしがあることもあり、正面から見た光景とはだいぶ異なる印象です。
もちろん、こちら側から見る駅舎も期待を裏切らないものです。
独特の風情を醸し出す、昔ながらの板壁や木製の窓枠。
風雨に耐えてきた年月を思わせる瓦葺の屋根とひさし。
それをがっしりと受けて立つ柱。
そのどれもが年季を重ね、程よく色あせ、一つひとつがこの駅の歴史の証人となっている――。
木造駅舎が大好きなLMには、どれもたまらないものばかりです。
唯一、ドアだけはサッシですが、駅舎に溶け込むような色が用いられており、違和感はあまりありません。

野馳駅(6)

野馳駅(7)
駅舎内部。
備後八幡駅に比べ若干室内が暗く感じるものの、居心地は悪くありません。
こちらは木製の長椅子に加え、プラスチック製(と思われる)椅子も用意されています。
LMはもちろん、大好きな木製長椅子を選んで座りました(笑)。
ドシンと腰を落ち着けると、椅子から木造駅舎の鼓動が伝わってくるような、優しい雰囲気が伝わってきます。
駅舎内は静かで、時計の音が聞こえるほどですが、この日は事務室からテレビ(またはラジオ)の音が時折聞こえました。
そう、この駅は、待合室だけでなく、事務室もまだ現役なのです。

野馳駅(8)
切符販売の窓口。
簡易委託のため、近郊区間の切符程度しか買えませんが、自販機ではなくちゃんと窓口で切符が買えます。
やはり、有人の切符売場があるのはいいものですね。
木造駅舎が残されていても、事務室は閉まっていることが多いですが、ここは事務室もしっかりと活用されています。
ただ、委託業務を務める女性職員に「中はあまり撮らないでね」と言われたので、奥までは撮りませんでした。
少し中をのぞいてみると、事務用品、暖房器具やちょっとした湯茶道具などが並び、いかにも“生活感”に溢れています。
今は無人化された駅にまだ駅員がいた頃、きっと事務室はこんな風だったんだろうな・・・と思いつつ、ほのぼのした気持ちで眺めていました。
ただ、デスクトップ型パソコンが窓口のすぐ横にあるのは、かなり違和感がありましたね(汗)。
新旧が混在する駅舎――それこそが“現役”であることの象徴なのかもしれません。

野馳駅(12)

野馳駅(13)
野馳駅構内(備後落合・三次方面)。
写真でも判別できると思いますが、以前は2面2線だったらしい形跡があります。
しかし、後述する通り、現在は閑散とした路線のため、交換駅の存在価値は主要駅以外ないも同然の状況。
この駅も、今は不必要となった線路を剥いで、1面1線の棒線構造とされていました。
この措置に伴い、当然のことながら駅舎反対側のホームは廃ホームとなり、草に埋もれています。
その状況からは、往時を偲ぶことはできませんが・・・。
かなうことなら、まだこのホームが活況を呈していた時代のこの駅に降り立ってみたかったですね。

野馳駅(10)

野馳駅(11)
野馳駅構内(新見方面)。
駅舎横(写真では手前)にある白い壁の建物は便所になります。
この駅では、備後八幡駅とは違い、便所は新しく建て替えられたようです。
新見-東城間は、東城-備後落合間よりは需要があり、多少本数も多いとはいえ、所詮は上り6本、下り5本にすぎません。
(下り列車はもう一本ありますが、快速のため、野馳駅は通過してしまうのです)
土休日はさらに少なく、上り5本、下り4本になってしまいます。
この場合、下り始発は13:29発の備後落合行きとなってしまうため、列車訪問の際は悩みのタネになりそうですね。

野馳駅(9)
野馳駅のラッチ(改札口)。
待合室のホーム側出口に残されており、扉もまだしっかりと可動します。
野馳駅の場合、駅に職員がいるため、細かい所まで“手が入っている”という印象を受けました。
管理がきっちりと行き届いているのです。
こうした地方の木造駅舎を訪ね歩くと、どうしても無人化された駅舎が多いものですが・・・。
この駅は、簡易委託駅とは言え見守る職員がおり、それが駅舎にも温かい雰囲気を醸し出しているように感じました。


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テーマ:駅の風景 - ジャンル:旅行

  1. 2012/06/07(木) 00:00:01|
  2. 駅探訪
  3. | コメント:6
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コメント

駅舎紹介を楽しみながら

駅舎紹介を楽しみながら拝見させていただいています。

私の郷里にある磐越東線も都会暮らしに慣れている者には、気が遠くなるほど運転間隔が長くなっています。帰省した折に、三春の滝桜を見に、久しぶりに乗ろうかと考えたのですが、…。
そんな浮気な客の思いとは別に、今日も駅舎は堂々と頑張っているんですね。
  1. 2012/06/07(木) 06:55:04 |
  2. URL |
  3. AzTak #-
  4. [ 編集 ]

いやぁ、素晴らしい木造駅舎ですね~。
てっきり芸備線のこの区間は全部無人駅なんだろうな、と思っていたので
野馳駅が簡易委託駅だと知ってかなり驚くとともに、
言いようもない安心感のようなものを感じました。

前回の備後八幡駅もそうですが、素晴らしい駅が残る路線なんで、
何とか末永く頑張って貰いたいな、と思います。
  1. 2012/06/07(木) 20:22:27 |
  2. URL |
  3. ねじまき #-
  4. [ 編集 ]

ようこそいらっしゃいました

AzTak様

こんばんは。
ようこそ当ブログへ、コメントありがとうございました。

> 駅舎紹介を楽しみながら拝見させていただいています。
ありがとうございます。
一応、駅紹介は我がブログのメインテーマ・・・というか“魂(スピリット)”に近い中核的なものであるだけに、これまでなかなか紹介できないことに、後ろ髪ひかれるような思いでした。
それだけに、ようやくきちんとした駅紹介ができて、ホッとしています。
自分としては、駄文&失敗写真ばかり(汗)ながら、精一杯の仕事をしたつもりです。
お楽しみいただければ幸いです。
ただ、駅紹介を執筆するには、大量の写真の編集と、膨大な資料にあたらないといけない(正確性を期すため)ので、なかなか執筆できないのが悩みのタネですね・・・。

> 私の郷里にある磐越東線も都会暮らしに慣れている者には、気が遠くなるほど運転間隔が長くなっています。> 帰省した折に、三春の滝桜を見に、久しぶりに乗ろうかと考えたのですが、…。
都会の暮らしになれていれば、田舎の鉄道の運転間隔はとてもたまらないものでしょうね。
場所によっては“公共交通機関”としての役割を果たしているのか疑問な所もありますから。
でも、私はそういったものには慣れていますし、そういった場所の駅や鉄道が好きなのです。

> そんな浮気な客の思いとは別に、今日も駅舎は堂々と頑張っているんですね。
そうですね。
いつ訪れても、特に木造駅舎は、とても優しく、温かく迎えてくれる気がします。
精神的にも落ち着き、心が静まるような、まるで慈母のような存在です。
癒やしを必要としたとき、木造駅舎はいつでも私たちを包んでくれますよ。
ただ、建て替えなどでどんどん数を減らしているのが残念ですが・・・。
  1. 2012/06/08(金) 00:09:37 |
  2. URL |
  3. LM #-
  4. [ 編集 ]

人がいると安心しますね

ねじまき様

こんばんは。
コメントありがとうございます。

> いやぁ、素晴らしい木造駅舎ですね~。
> てっきり芸備線のこの区間は全部無人駅なんだろうな、と思っていたので
> 野馳駅が簡易委託駅だと知ってかなり驚くとともに、
> 言いようもない安心感のようなものを感じました。

まあ、簡易委託駅というだけなら、他にもいくらかありますが・・・。
駅舎を実際に使用しての簡易委託駅は数少ないですね。
私もてっきり無人駅かと思っていたので、人がいたのには驚きました(特にこの日は休日でしたから、尚更です)が、やはり人がいると安心しますね。
この駅は、人のいる“温かさ”がそこここに表れている気がしました。

> 前回の備後八幡駅もそうですが、素晴らしい駅が残る路線なんで、
> 何とか末永く頑張って貰いたいな、と思います。

そうですね。いつまでも残ってほしいです。
機会があれば、ねじまき様もぜひご訪問ください。
  1. 2012/06/08(金) 00:16:26 |
  2. URL |
  3. LM #-
  4. [ 編集 ]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2012/06/08(金) 01:27:30 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集 ]

鍵コメ様へ

鍵コメ様

こんばんは。
コメントありがとうございます。

はい、ヒントがあったので一目でわかりました。
そちらの方では、その周辺のレポートも多いことですし(笑)。

野馳駅、とても良い駅ですよ。
こういう駅は、そちら様の琴線にもふれると思いますね。
ぜひご訪問ください。
  1. 2012/06/08(金) 01:40:55 |
  2. URL |
  3. LM #-
  4. [ 編集 ]

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このブログについて

LM

Author:LM
鉄道旅行が趣味(&気晴らし)のLMが、旅先で出会った駅を下手な写真と駄文で紹介するブログです。
2010年以降は鉄道写真も多くなっています。

[ 趣 向 ]
風情あふれる木造駅舎とローカル線、SLが大好き。都会近辺の路線はやや苦手です。
廃墟系の建物や独特の雰囲気の建物、美しい自然も愛でています。

[ 構 成 ]
基本的に、LMがメインです。
他に、高校時代からの友人にして、このブログの共同経営者・Kが一部の写真撮影を担当しています。Kは夜勤が多いので、平日昼間の撮影に重宝しています(笑)。
このほか、表立っては出ませんが、LMやKの知り合いの女性たちが黒幕?として存在してます。

[ 機 材 ]
LM:
・Nikon D500(メイン機)

K:
・Nikon D7200(メイン機)

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