[ のと鉄道七尾線 笠師保駅 ]

前回の北陸旅行で訪問した駅をゆるゆると紹介していきたい。
訪問駅が多かった&仕事忙しい&体調が微妙・・・なので全部紹介できるかどうか分からないが・・・。
最初はのと鉄道七尾線の笠師保駅を紹介する。
()内にある「恋火駅」というのは愛称で、「
塩津かがり火恋祭り」という祭りから来ており、年に1度、夏の夜に男の神様と女の神様が海の上で逢瀬を楽しむという、七夕のような物語に由来しているという。


笠師保駅は石川県七尾市中島町塩津に存在している。
ここを訪問駅とした理由は、資料で木造駅舎が残されていることを知っていたからだった。
駅舎は改修されたもののようで、
のと鉄道のサイトにある笠師保駅とは若干外観が異なっている。
駅からはわずかだが海が望め、すぐ目の前に「
浜焼き能登風土」という店があり、営業時間になると磯焼きのおいしそうな香りが鼻腔をくすぐる。

特徴的な飾りが施された玄関。
木造駅舎は数あるが、これほど立派な装飾がある駅もそうはないだろう。


駅舎内。
夏の暑い盛りの訪問となったが、心地よい海風が吹き寄せ、居心地は良かった。
駅の目の前に飲食店があるため若干騒々しさもあるが、基本的には長閑で静かな駅である。

・・・木造駅舎にこんなの貼られているの、初めて見ましたわ。
まあ、学生利用者も少なくなかったので、清潔に維持されているのは結構なことなのですが。



笠師保駅ホーム。
花壇などもよく管理され、綺麗に維持されている。
ホーム上の木は桜で、春になると美しい桜並木になることだろう。


夕暮れの駅舎内。
日が沈むと、駅舎内の灯篭のような灯りが一際存在感を放つ。
その灯りは、ほんのり明るくて、心を癒やしてくれるような、不思議な魅力を秘めていた。




同じく夕暮れ時の駅の情景。
ブルーモーメントと優しいオレンジの色で染められた駅はロマンティックな美しさに満ちている。
その美しさにすっかりあてられて、惚れ惚れしながら駅を撮っていた。
言葉には尽くしがたかったが、とにかく美しかった。
表現しがたい「温かみ」のようなものがある。
疲れ切ったLMを癒やして優しく抱きしめてくれるような、不思議な感覚だった。
最愛の女性はこの駅を特別気に入ってくれたようで、この駅もまた、LMの聖地として数えられることになったのだった。
テーマ:駅のある風景 - ジャンル:写真
- 2023/07/24(月) 00:00:01|
- 駅探訪
-
-
| コメント:2
[ ヤセの断崖 ]
しかし、ごらん、空の乱れ
波が――騒(さざ)めいている。
さながら塔がわずかに沈んで、
どんよりとした潮を押しやったかのよう――
あたかも塔の頂きが幕のような空に
かすかに裂け目をつくったかのよう。
いまや波は赤く光る……
時間は微(かす)かにひくく息づいている――
この世のものとも思われぬ呻吟のなかに。
海沿いの墓のなか
海ぎわの墓のなか――(「
ゼロの焦点」より、松本清張・著)

この夏、北海道へ旅する予定であったが、
諸事情で挫折。
代わりに、
最愛の女性の意見を入れ、以前から行こうと考えながら行くのを後回しにしていた北陸へ旅をすることにした。
[ 能登金剛 ]


小学校3年生頃から愛読した推理小説「ゼロの焦点」(なお、内容的に見ても、普通の小学生が愛読するような本ではないと正直思う)の舞台となった断崖に立つ。
「ゼロの焦点」と言うよりは
「火曜サ○ペンス劇場」のテーマ曲がガンガン鳴り響く景色ではあるが・・・。
本の時期とは季節が真逆(「ゼロの焦点」は冬)であったが、まさに本の内容を彷彿とさせる荒涼たる景色であった。
※なお、LMは、本の中で自分が形作った登場人物のイメージを大切にしているので、映画等は見ていない。

「ゼロの焦点」では、主要登場人物の誰もが悲しい結末を迎えてしまう。
LMもまた、愛読書の舞台となった場所故に、最愛の女性が生きていた頃、共に来たい場所と思っていたが、その望みはかなわなかった。
北陸の旅をすると決まった時に、二十年来のその微かな思い出を呼び起こし、彼女の遺影と共に立ったこの場所。
それはどこか物悲しくも、蠱惑的な美しさを持つ、特別な場所だった。
最愛の女性も、目の前に広がるこの景色をとても気に入ってくれた。
[ のと鉄道七尾線 笠師保駅 ]


もう一つは、新たな聖地を目指して彷徨う旅だった。
北海道では、LMが聖地としてきた駅が次々と廃止されていき、まだ残る駅もいつ廃止されるか分からない。
だから、昔、そうしていたように、新しい聖地候補を探して彷徨い続けた。
併せて、このブログ本来の目的である風情ある駅を探す旅でもあった。
そうして行き着いた笠師保駅は、色々な事件があって訪問当初の印象は最悪だったが、去る頃には特別な駅としてLMの中に刻まれた。
[ 富山地方鉄道立山線 下段駅 ]


最愛の女性は、LMの「好み」というものを知り抜いている。
かなり古い駅舎が好みなのも知っているし、LMが認めたものは彼女も大抵認めて聖地となるのが通例であった。
ただ、今回訪問した駅では、流石に一部ドン引き(?)されてしまうような駅もあった。
しかし、LMがその駅の魅力的な部分を伝え、じっくり観察すると、最終的には最愛の女性も納得してくれて聖地となった。
「最高の聖地」―かつての下白滝駅、現在は天塩川温泉駅―全てを理解して、十二分に魅力を知り、日頃の鬱々を晴らしてくれる駅を訪問するのは楽しいものだ。
それは馴染みの駅に行くということであり、考え方が保守的(ファミレス等でもほぼ決まったメニューしか頼まない)なLMにとっては安心感がある。その旅の成果が最初から約束されているからだ。
一方、あっちこっちと見て歩き、成果が出るかどうかも分からない放浪の旅は正直ツラいし、体も昔ほど強健ではないので疲労感も甚だしい。
だけど、「未知なるもの」を探し、新しく新鮮な出会いを求めて、最愛の女性と彷徨う旅も悪くはない――。
彼女と共にさ迷い歩きながら、LMはそう思った。
この度の石川県北部を襲った豪雨で被災した皆様に心よりお見舞い申し上げます。
被災した皆様には1日も早い復旧をお祈り申し上げます。
テーマ:駅のある風景 - ジャンル:写真
- 2023/07/18(火) 00:00:01|
- 鉄道旅行
-
-
| コメント:2
[ みもすそ川公園 ]

門司港駅に行った後、関門トンネルを超えて下関側に向かった。
行先はみもすそ川公園。
源平合戦の地である関門海峡こと壇ノ浦古戦場を目前に臨み、対岸には先の記事で紹介した和布刈神社を望める場所にある。

壇ノ浦古戦場にほど近いこの公園には、源平合戦で活躍した源義経と平知盛像が設置されている。
源義経は八艘跳び、知盛は入水前に担いだとされる錨を持った姿で対峙している。
併せて「安徳帝御入水之処」の碑も設置されている。
安徳天皇と共に沈んだ二位尼による辞世「今ぞ知る みもすそ川の 御ながれ 波の下にも みやこありとは」が刻まれている。
全く関係ないが、LMは安徳天皇の話になると何故か涙腺が緩くなり悲しい気分になってしまう。
時代に翻弄され、わずか8歳で亡くなられた安徳天皇に惻隠(そくいん)の情を抱いてしまうからかもしれない。

壇ノ浦は
源平合戦の舞台として知られるが、ここは幕末にも激戦の舞台となった。
尊王攘夷に燃える長州藩が欧米列強派遣艦隊と激突した
下関戦争(馬関戦争)である。
長州藩は外国船を砲撃するなどして攘夷の姿勢を示したが、この報復としてアメリカ・イギリス・フランス・オランダが艦隊を派遣し、長州藩と交戦した。

みもすそ川公園付近には長州藩の壇ノ浦砲台があったとされる。
長州藩の主力は青銅製の加農(カノン)砲だったが、当時最先端の武装を持った欧米艦隊の圧倒的火力に歯が立たず、全ての砲台が破壊・占領された。
これにより長州藩は攘夷の無謀さを悟って方針を転換し、海外製の装備を取り入れ、倒幕の主役となっていく。


ともあれ、みもすそ公園には、そんな時代を彷彿とさせる長州砲(八十斤加農砲)と呼ばれるレプリカ(FRP製)が5門据え付けられている。
うち1門は、100円を入れると砲撃音と水蒸気を放つことで砲撃の煙を演出する機能を有する。
砲撃音の動画。
なかなかに迫力がある。
※大きな音が出るので音量に注意。
テーマ:写真日記 - ジャンル:写真
- 2023/07/12(水) 00:00:01|
- その他写真(非鉄)
-
-
| コメント:2
だいぶ間が空いてしまった・・・・。
正直ネタ切れである(涙)。
仕方ないので、記事として取り上げる予定はなかったが、先日行った門司港と下関のぶらり旅行の内容でも紹介したい。
なお、元々記事にする予定がなかったので写真はスマホ等で適当に撮ったものなので質は良くないが了承願いたい(涙)。
[ 和布刈神社 ]


最初に赴いた
和布刈(めかり)神社は北九州市門司区門司、九州の最北端、まさに関門海峡(壇ノ浦)と下関の街並みを目前に眺める場所にある。
かつて、松本清張が「
時間の習俗」という推理小説の舞台とした場所としても知られる。
(なお、「時間の習俗」は、かの名作「点と線」に出演した三原警部補と鳥飼刑事のコンビが再登場する作品でもある)
社伝では、仲哀天皇9年(西暦200年)創建とされており、御祭神は天照大神の荒魂「撞賢木厳之御魂天疎向津媛命(つきさかきいつのみたまあまさかるむかつひめ、別称「瀬織津姫(せおりつひめ)」)とされる。
海に面して建てられており、海峡の守護神として崇敬を集めてきた。

LMがここに来た理由は
思物供養のため。
LMが子供の頃に親戚から買い与えられた武者人形があったが、もう随分古くなり、ケースが壊れて破損したことから汚れが目立つようになり、このまま汚損する前に供養しようと思い立ったからであった。
かつてこの神社で同じような供養をお願いしたことがあり、今回またお願いした。

それにしても、本当に海が近い。
鳥居は海を向いても立っている。
その鳥居を通して、関門海峡を通る大型船を眺めることができる。
なお、上を通る橋は、高速道路の関門橋である。


灯篭も海に面している。
[ 鹿児島本線 門司港駅 ]


その後行ったのは門司港駅。
しばらく改修作業が行われていたが、2019(令和元)年に回収作業を終えた。
改修作業を終えた後は行ったことがなかったので、久しぶりに立ち寄ってみた。
※I(T)氏、挨拶もなしに縄張りを荒らしてすみませんm(_ _)m

改修前にご紹介した際にはあちこちが痛んでいた壁もきっちり修復されていた。

きっぷ売場も品格がある。




静寂でのどかな景色の中に、九州の最北端、かつては九州の玄関口として栄えた駅の誇りと歴史の重みが佇んでいた。
テーマ:駅のある風景 - ジャンル:写真
- 2023/07/05(水) 00:00:01|
- 雑記
-
-
| コメント:2